整備兵Aの日記
1月25日
今日でいよいよ特務が終了する。
色々と大変だったアークエンジェルとGの製造だが、ラミアス大尉の存在が毎日を楽しいものに変えてくれた。
最後に飲みに誘うと息巻いていた同僚がいたが、個人的に誘えば上官侮 ...
七五三
「マリュー、このくらいでどうだあ」
「んー、もうちょっとだけ緩く」
リビングの真ん中に立つマリューの腰に腕を回していたフラガは、心持ち手の力を抜いた。
「このくらい?」
「ん、平気」
天高く ...
育休終了
「困ったわねえ」
「そうだなあ」
リビングの真ん中ですやすやと昼寝するお嬢さまを眺めて、マリューとフラガはため息をついた。
お嬢さまは非常にお元気で、すくすくと育っている。ではなにが困ったかと言えば、保育所がど ...
称号返還
八月ももう終わりだというのに、相変わらず暑い。
大人はクーラーのきいた部屋でひっくり返っていたい気温だが、子どもはいつだって遊びたい。
公園に行って熱中症になるのを心配するよりも、とフラガ先生んちでは今年ビニールプール ...
フラガ家の日常
「ただいまー」
調味料を買い忘れ、急遽近くのコンビニに走ったフラガは、玄関に入るなり異様な気配を感じて立ち止まった。
「こ、これは…!」
眉間にぴきーん!ときて、慌てて靴を脱ぎ捨てリビングにダッシュする。 ...
奥様の日曜日
出産ぎりぎりまで教壇に立って、産んでから三ヶ月で復職して以来、家のことはフラガにまかせきり。
僅かにあった心配など吹き飛ばすくらい、フラガは家事と子育てをこなしてくれているが、毎日の夕食の下ごしらえだけは、自分の仕事と決めてい ...
主夫の日曜日
うららかな日曜日。
フラガご夫妻は少し遠い大型スーパーまで足を伸ばして買い物して、お昼を食べて、のんびりと散歩がてらに歩いていた。
マザーズバックとお買い物袋をひっかけたベビーカーを押すのは、フラガの役目だ。
主夫編 X年後
コーヒーハウス「レセップス」のカウンター一番奥の席は、フラガの指定席だ。
彼の席の斜め隣、すぐ手の届くところにはピンク色のベビーカーがあり、中にはふっくらほっぺの色白赤ちゃんがいる。
この子を連れて公園で日向ぼっこし、 ...
なつやすみ
「ああ、久し振りの私のこじんまりした部屋~!」
荷物を置いて、フラガが窓を開けて空気を入れ換えているあいだ、団扇で顔に風を送りながらマリューは足を伸ばした。
オノゴロ島に行ってから、忙しくて一度もこちらには戻ってこられ ...
ふたりのり
オノゴロ島は狭い路地が多いから、自転車が便利だ。
遠出するときは、マリューの勤める記念館準備室所有の軽自動車があるので、個人で車を持ち込む必要はほとんどない。
日々の買出しなどは小さな市場ですませ、島で唯一のショッピン ...
アイシャのいたずら
フラガがバルトフェルドの店に顔を出したのは、新年会以来だ。
世界はふたりのために、いいじゃないか幸せならば、とばかりに恋人と蜜月を過ごしていたのだから、昔馴染みのコーヒーマニアの存在を忘れていても、無理はない。
少なく ...
幸せの秘密
陽射しが俄かに春めいてきた。それでもひとりで暮らしていたときには、防犯のためにどんなに天気のいい日も窓を全開にしたままにはしなかったのだが、今はフラガがいるから安心して、緑の混じった匂いを吸い込むことができる。
「一休みし ...
(2)
風呂から出てきたら、部屋に蟹尽くしの夕食の支度が整っていた。
「あら、奥さん。湯あたりされましたか?」
フラガに抱えられるようにして帰ってきたマリューを見て、仲居さんが気遣う。
「いい眺めだったから、ちょっと長 ...
両思い編 たのしい温泉旅行(1)
「いいなあ、温泉」
こたつに入ってテレビを見ていたマリューが、ぽつりと呟いた。寝転がって新聞を読んでいたフラガは、上半身を捻ってマリューを見上げる。
「なに、マリュー。温泉好きなの」
「特別好きってわけじゃない ...
お年玉
「あなた達、これからどうするの?」
お参りが終わり、各人それぞれ家路に着いたあと、マリューはオルガ・クロト・シャニの三人に訊ねた。
三人はアパートで暮らしていて、家族はいない。
「アズラエルのおっさんが、家に来 ...
初詣
十二月三一日午後十一時。アルテミス神社駅前。
それがAA学園生徒会ぷらすアルファの、初詣のための集合場所だった。
「ほら、マリュー、行くよ」
「ちょっと待って。あと少し」
口紅の蓋を閉めたマリューは、慌 ...
天使は舞い降りた
そしてやってきた終業式。
しばし会えないということで、さんざん名残を惜しむ三人組にマリューは、じゃあ、一緒に初詣に行きましょうか、と相変わらず天使のようなことを言っている。
大晦日の深夜、除夜の鐘を聞いて、カウントダウ ...
キラからのプレゼント
「マリュー先生。少し早いですけど、よいクリスマスを」
国語準備室を訪ねてきたキラは、モミの木が描かれたカードをマリューに差し出した。
「まあ、ありがとう、キラくん」
体育祭以来、キラは週に一二度学校に来るように ...
8 クリスマスの奇跡 受難は続く
いい匂い、と思いながらフラガが目を開けると、流しの前に立つマリューの後姿があった。1Kなので、ほぼ一目で室内のすべてが見渡せる。
フラガの密かな憧れだった「こじんまりとして温かそうなマリュー先生の部屋」は、本当にこじんまりとし ...
(5)
アスランはなんとかアズラエルを振り払い、平均台に駆け上った。
途中で落ちれば、また平均台の最初からやり直しがルールだ。追いついたアズラエルはよろけたふりをして、アスランの足をなぎ払う。
「あっ!」
アスランは受 ...
(4)
「いやあ、これは益々勝負が楽しみになってきたねえ」
バルトフェルドはいそいそと貴賓席に戻っていく。
「おまえ達、ぼんやりするな! 行くぞ!」
思わぬものを見てしまい、吃驚仰天、真っ赤になっているトールとミリアリ ...
(3)
「いやあ、おまえの近くにいると退屈せんなあ、フラガ」
上機嫌のバルトフェルドが愛車ラゴゥで現れたときには、二時を少しまわっていた。
ラゴゥは元はジープなのだが、あっちこっち改造されて装甲車のようになっている。助手席はア ...
(2)
どこに行っても人がいるので、校舎の裏に辿り着いたときには、マリューはほっとした。走っている最中に涙が零れてきて、誰にも見られたくなかった。
自分はどうかしている、と思った。
フラガに女友達がいるからといって、自分がこん ...
7 いざ決戦!(1)
「肋骨が折れてますね」
AA学園保健の先生は、童顔なのにとってもクールだ。フラガは診てもらうために上げていたシャツを下ろして、笑って見せた。
「でも大丈夫ですよ、とか。心配ありませんよ、とか言えよ」
ノイマンは ...
6 危うしフラガ先生!
「スパイ容疑がかけられてるんですってね」
昼休み、体育教官室にやって来たサイが、爽やかな笑顔で言った。フラガの目の前には、今日もマリューのお弁当が広がっている。
しばらく俺とは関わらないほうがいいんじゃないかなー、とは ...
5 決戦! 前夜
いつの間にか体育祭の目玉イベントになったPTA、職員合同障害物競走。
参加者はアズラエル理事長。体育のフラガ先生。PTAのクルーゼ会長。生徒代表キラ・ヤマト。プラント学園代表アスラン・ザラ。
誰が勝つのかまったくわから ...
理事長参戦
ちょろちょろちょろちょろ。かっこーん。
料亭といえばししおどし。
侘びさびの深遠、日本庭園を望む座敷で、胡坐を書いて猪口を口に運ぶホスト、ではなくAA学園理事長ムルタ・アズラエル。
向かい合うのは、同じくAA学 ...
4 クルーゼの挑戦
メモを見ながらフラガはクルーゼ邸を探した。
正確には行方不明の彼の妻、フレイの母親の家だ。父親関係で豪邸は見慣れているし、住んだこともあるフラガなので驚きはしなかったが、クルーゼ邸は大きかった。
アルスターと刻印された ...
3 嵐の予感
AA学園中等部は高等部に隣接している。フラガは昼休みを利用して、中等部職員室に顔を出し、フレイ・アルスターを呼び出してもらった。
本当はどこか空いている教室を借りて話をしたいのだが、相手がクルーゼの継子であるので、なにがどう出 ...
2 恋と花火と文化祭
ぽーんぽーんと打ち上がる花火。
マンガとかでは見るけど、ほんとにこんなことするとこあるんだなー。
もうおわかりでしょうが、これはフラガのコメント。プラント学園の文化祭は実に派手だった。
「うちも花火を上げないと ...