周囲の反応2
レストランの個室に、久しぶりに元チーム鳳のメンバーが揃った。
星谷が新しい住所を伝えたあと、
「オレ、ここで鳳先輩と一緒に暮らすことになったよ」
と言ったところ、全員微妙な顔をした。
「え…星谷く ...
不変のライバル
やあ、と辰己はまるで昨日綾薙の校門前で別れたかのように手を挙げた。
「ひっさしぶり! 変わらないね!」
「星谷は変わったんだよね。結婚おめでとう」
「え? えへへ。ありがとう」
なんで知ってんの? ...
天花寺翔様回
カフェにて星谷と鳳のことを説明していた月皇が、ああ、そうそう、と上着のポケットから携帯端末を取り出した。
「星谷がファン向けに配信してるチャンネルに、天花寺翔様回というのがありまして」
「天花寺翔様回」
既 ...
肩甲骨
昼夜が逆転することも珍しくないので寝室の窓には遮光カーテンを使っているが、隙間から少し陽が差し込んできている。
目が覚めた星谷は何気なく顔の向きを変えて苦笑した。
鳳は星谷に背中を向けて眠っていた。
寝 ...
抱きしめたい
天花寺が袱紗のなかから取り出した大きな祝儀袋に、鳳は若干引いた。
「このたびはご結婚おめでとうございます」
「う……」
ホテル一階のコーヒーラウンジで人目を引くやり取りは避けたく、言葉を詰まらせる。
宝物をあげる
新居に引っ越したもののなかなか荷物の整理ができず、久しぶりにふたり揃って家で夕食を取ったあと、星谷が洗い物をしているあいだ鳳はリビングで積んだままの段ボール箱を開けていた。
「星谷。これ、おまえの?」
鳳が持ち上げ ...
最高のプレゼント
すみません、先輩。今日泊めてください。
星谷から来たメッセージに、いいよ、と返信してから鳳は駅の改札を通った。
終電ではないがもうかなり遅い。綾薙の二学期の終業式はもう終わっているが、年内ぎりぎりまで学校でやるこ ...
デート
「四季せんぱーい。冬沢せんぱーい」
舞台の幕間にロビーに出た四季は、別の出口から出てきた星谷が手を振るのに気づいた。
クラスメイトの誰かと来ていたのかと思ったすぐあと、後ろに鳳の姿が見えた。
四季にとって星谷 ...
伝えたい思い
「こないだはごめんね。大学案内できなくて」
喫茶店で鳳に謝られて星谷は慌てて手を振った。
「いえ! 暁先輩によくしてもらいましたから! すっごく楽しかったです!」
「そ? よかった。暁も君が案内するよりマシだ ...
先輩の紐
「これ、鳳先輩の紐だ」
天花寺が実家から寮に持ち帰った「高級菓子」をラッピングしていた赤い紐を、じっと見ていた星谷が言った。
「鳳先輩の紐?」
天花寺が首を傾げる。
「鳳先輩が髪をくくってた紐」 ...
おれたちはここにいる
綾薙祭が終わり四月からずっと忙しかった華桜会の仕事も一段落したある日。
定例の会議のあと、冬沢が一枚のディスクを取り出した。
「今年の卒業記念公演のゲネプロだ」
華桜館の資料室に納められているものを、辰己琉唯が ...