ラスマク

 ラスタル・エリオンはいくつも住居を持っているが、そのなかのいくつかは複数いる愛人との逢引き用で、さらにそのなかのひとつ、郊外の住居は人目を避ける相手、実質マクギリス専用だ。
大体お互いがお互いの都合で相手を呼び出すのだが、今 ...

ラスマク

 帰宅した義父の顔を見たときから、マクギリスには義父が怒っているのがわかっていた。
 怒りが直接マクギリスに向いている。今日はセブンスターズの定例会議だったが、なにがあったか問うより先に振り下ろされた杖に、臓器を庇う姿勢を取っ ...

ラスマク

 飼い主であることを誇示するようにいつも一緒のファリド公が、その日はいなかった。
 抜けられない別件があるとかで、さりとてこの会合を欠席するわけにもいかず、養子をひとりで出席させたようだ。
見た目で買われたと思われてい ...

ラスマク

「好きな男の名を呼んでいいぞ」
 そう言うと、服を脱ぎかけていたマクギリスは胡乱気にラスタルを見た。
「なんの趣向です?」
「なに、私も君が私を好んで相手をしていると思っているわけではない。たまには楽しんでもら ...

ラスマク

 渡り廊下を挟んで向こうではまだパーティが続いている。
 エリオン公に用意されている控えの間に無断で入ってくる者はいないが、鍵をかけてあっても人の気配が近い。
 明かりのついた部屋で大きな声を出さないよう快楽に耐えるマ ...

ラスマク

 予告しないで訊ねると、白いシャツにスラックスを着たマクギリスは極めつけに嫌な顔をしたが、それでもラスタルをなかに入れた。
 司令服のラスタルは目立つので人目につきたくないのと、この住居はそのラスタルが買ってやったものだからだ ...

ラスマク

 食事に誘いにきたガエリオが、マクギリスの執務机の端に座った。
「いつまで仕事をしてるんだ」
「もう終わる」
「さっきも聞いた。あれから何分経った?」
「だからもう終わる」
「あと五分でそれ、強 ...