テレビドラマ「ミュ」
綾薙学園百周年を記念して星谷世代をモデルにしたテレビドラマシリーズが放映、という状況でほしとりといつものみんなのわちゃわちゃ。
未来はまだ霧のなか
オープニグセレモニーを終えて綾薙祭の裏方で校舎を走り回っていた星谷は、一般客と思われる男性に声をかけられた。
「君、朝のステージに出ていた子だよね?」
綾薙の講師のなかにもいるので、男の独特の雰囲気から業界関係者だ ...
私の一番星
私の初恋は小学校四年のとき。
運動会のリレーで、半周遅れをひとりで挽回してテープを切ってゴールした星谷くんを好きになった。
星谷くんは運動神経は抜群によかったけれど、そのほかは目立たない男の子だった。
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夢の階段
休日に学園祭を見てきたと言う生徒を前に、教師は絶句した。
聞こえなかったのかと思ったのか、受け持ちクラスの生徒、星谷悠太は繰り返した。
「オレ、綾薙学園に行く!」
いや、待て。そんなつもりではなかった。 ...
歌って踊る会
ドレスコードは歌って踊れる格好
綾薙を卒業した次の春、鳳は元教え子たちと野外劇場にいた。
円形の舞台では星谷が青空の下、かつて鳳が雨音のリズムで踊ったあのダンスを披露していて、最後のポーズを最高の笑顔で決めた。 ...
特別稽古
「星谷を次の華桜会に入れたい」
甘味処の個室で四季は切り出した。
五人揃ってここに集合ということは華桜館では話しづらい内容だと冬沢にはわかっていたし、四季がほかの三人を無視して冬沢だけを見ていることから、この件を今初め ...
おれたちはここにいる
綾薙祭が終わり四月からずっと忙しかった華桜会の仕事も一段落したある日。
定例の会議のあと、冬沢が一枚のディスクを取り出した。
「今年の卒業記念公演のゲネプロだ」
華桜館の資料室に納められているものを、辰己琉唯が ...