Others

目覚めたらひとりだった。
時計を見ると午前二時。
一度隣に入ってきたのは覚えているので、また出て行ったのだろう。
待っていようかと思ったが、心細くなってきて、ガウンを羽織ってベッドを出た。
何年住んでも ...

Others

今度は手を離さない

どんなときもあなたの傍に

あんまり久し振りだったので、どちらも緊張した。
数えてみると、一緒にいた時間より離れていた時間のほうが長くて、そのことに気づいたふたりは笑い合った

Others

眠りから覚めると、マリューはまず確認する。
なにもかも夢でないか。

自分はあの沢で死体になっていて、彼が帰ってきた夢を見ているのかもしれないと思う。
そんな夢をずっと見たいと思っていたから。
目が覚 ...

Others

暗闇を歩く 君と手を携えて

マリューが目を開けると、彼の顔がすぐ近くにあった。
「寝てるときにキスしないでって」
だって可愛い顔で寝てるからさ」
悪びれもせず笑うと、フラガはマリューの前髪を撫でた。 ...

Others

心残りはなにもない。
あえて探すなら彼女のことくらいか。

マリューは泣くだろうか。
俺は彼女が思い切り笑った顔を見たことがない。
笑うことに途惑うような笑顔しか思い出せない。
わざわざ襟のフ ...

Others

いらない子

要らない、と言われた。
おまえは、要らないと。

なぜなのかわからなかった。
それまでは大事にされていたのに。

病気をしたのがいけなかったのかもしれない。
具合が悪 ...

Others

「フラガの扱いなのだが」
窓を挟んだ眼下にアークエンジェルを望み、キサカはマリューに切り出した。
最終戦で大破したアークエンジェルは、まもなく廃艦になることが決定していて、マリューが白亜の戦艦を眺めるのは、これが最後と ...

Others

名残

あるいは感傷

だからといって思いは褪せない

降る夜

ぱらぱらと音を立て、屋根に雨が落ちる。
床にマットレスを敷いた寝床には慣れたが、この湿度は相変わらず不快だ。

Others

どん、というここではよく聞く爆発音がした。

一見すると玩具のような形に作られた地雷は、子どもが興味を持ちやすく、死に至りはせずに体の一部を損なわせる。
医師を乗せたバギーが出て行くのと入れ替わりに、避難民を乗せた小 ...

Others

バギーで向かった指定場所で待っていたのは、本当に彼だった。
驚いたことに五体揃っていて、笑ってさえいる。
二日前に、いくつかのルートを経てノイマンに伝えられた「フラガ少佐帰還」の報は、情報元がアンドリュー・バルトフェル ...

Others

ドミニオンからローエングリンが発射されたとき、フラガは闇雲に動いたわけではなかった。
射出エネルギー量と目標地点、一時的にでもシールドで抑えられる距離と角度を計算して、ストライクを動かした。
尤も、自分が助かるとは思わ ...

Others

一歩一歩、地面を踏みしめながら、フラガは彼にしては珍しく緊張を感じた。
進むごとに、マリューに近づいている。
そう思うと、顔が強張った。

今はただ、生きていてほしい。

どうして自分はもっと早く帰 ...

Others

2004年5月にサイトにUPしたSSを元に、本として発行したものです。
当時お手に取ってくださった方々、ありがとうございました。
自分的に好きな作品で、発行後年数が過ぎたことから、全文サイトに掲載したいと思います。 ...