星空
目覚めたらひとりだった。
時計を見ると午前二時。
一度隣に入ってきたのは覚えているので、また出て行ったのだろう。
待っていようかと思ったが、心細くなってきて、ガウンを羽織ってベッドを出た。
何年住んでも ...
Others 8
今度は手を離さない
どんなときもあなたの傍に
あんまり久し振りだったので、どちらも緊張した。
数えてみると、一緒にいた時間より離れていた時間のほうが長くて、そのことに気づいたふたりは笑い合った
Others 7
眠りから覚めると、マリューはまず確認する。
なにもかも夢でないか。
自分はあの沢で死体になっていて、彼が帰ってきた夢を見ているのかもしれないと思う。
そんな夢をずっと見たいと思っていたから。
目が覚 ...
Others 6
暗闇を歩く 君と手を携えて
マリューが目を開けると、彼の顔がすぐ近くにあった。
「寝てるときにキスしないでって」
だって可愛い顔で寝てるからさ」
悪びれもせず笑うと、フラガはマリューの前髪を撫でた。 ...
沈黙
心残りはなにもない。
あえて探すなら彼女のことくらいか。
マリューは泣くだろうか。
俺は彼女が思い切り笑った顔を見たことがない。
笑うことに途惑うような笑顔しか思い出せない。
わざわざ襟のフ ...
Others 1
「フラガの扱いなのだが」
窓を挟んだ眼下にアークエンジェルを望み、キサカはマリューに切り出した。
最終戦で大破したアークエンジェルは、まもなく廃艦になることが決定していて、マリューが白亜の戦艦を眺めるのは、これが最後と ...
Others 2
どん、というここではよく聞く爆発音がした。
一見すると玩具のような形に作られた地雷は、子どもが興味を持ちやすく、死に至りはせずに体の一部を損なわせる。
医師を乗せたバギーが出て行くのと入れ替わりに、避難民を乗せた小 ...
Others 3
バギーで向かった指定場所で待っていたのは、本当に彼だった。
驚いたことに五体揃っていて、笑ってさえいる。
二日前に、いくつかのルートを経てノイマンに伝えられた「フラガ少佐帰還」の報は、情報元がアンドリュー・バルトフェル ...
Others 4
ドミニオンからローエングリンが発射されたとき、フラガは闇雲に動いたわけではなかった。
射出エネルギー量と目標地点、一時的にでもシールドで抑えられる距離と角度を計算して、ストライクを動かした。
尤も、自分が助かるとは思わ ...
Others 5
一歩一歩、地面を踏みしめながら、フラガは彼にしては珍しく緊張を感じた。
進むごとに、マリューに近づいている。
そう思うと、顔が強張った。
今はただ、生きていてほしい。
どうして自分はもっと早く帰 ...
Others きみのいるところ
2004年5月にサイトにUPしたSSを元に、本として発行したものです。
当時お手に取ってくださった方々、ありがとうございました。
自分的に好きな作品で、発行後年数が過ぎたことから、全文サイトに掲載したいと思います。 ...