魏無羨が現れて決起大会に集まった仙師たちの興奮が一気に高まるなか、金凌は必死に母を探していた。
 本当に起こったことと違い、魏無羨が攻撃しないので戦いは始まっていないが混乱はしている。
 やがて金凌は白い喪服を着て走 ...

 金凌が目を開けると、まず目に入ったのが江澄の顔だった。
「叔父上」
 口を開くと同時に瞳から涙がこぼれた。
 江澄の目も潤んでいる。
 金凌は手の甲で涙を拭うと、組んでいた膝を崩した。
「なん ...

 江澄と金凌が雲深不知処を去り、魏無羨と藍忘機は藍景儀を連れて沢蕪君と藍啓仁に報告に行った。
 ここでも迷惑をかけたと頭を低くして詫びる藍景儀に、無事でよかったと沢蕪君は微笑んだ。
「その様子では大丈夫なようだが、明日 ...

 コンコン、と控えめに静室の扉が叩かれた。
 続いてこれまた控えめに声がする。
「魏先輩。おはようございます。朝餉をここに置きます。冷めないうちにお食べください」
 藍忘機は地方の世家の争いごとの仲介に出向いて ...