(7)
背中に走る痛みに顔を顰めた。
短く整えられている爪が皮膚を傷つけることはないが、当然と言うべきか力は結構ある。
「ちょっとだけ手ぇ緩めて」
ティエリアは小さく頭を振り、もどかしくなったのか腰を揺らした。
「煽るなよ」
動かないでいると手が頭に移動してきて、ぶつけるようにキスされた。かつての自主学習の成果で、舌の使い方は巧みだ。
涙を零し出したのを合図に、激しく腰を打ちつけると、言葉にならない声が漏れ続ける。
「好きだろ? こういうの」
必死に頷く。
本当に好きなのだ。
毎回こんなことをしていては壊してしまうので、たまにしか乱暴にされないので余計に。
「好き…」
「俺が? セックスが?」
「両方…」
耳朶に齧り付くと、痛みか快感かわからない声が上がる。
「そんなに喜ぶと、うっかり殺しちまいそうだ」
「もしあなたが僕を殺してくれるなら」
荒い息の合間、掠れた声が言葉を紡ぐ。
「僕は幸せのうちに死ねるだろう」
なにかを所有しているという感覚を、ニールはしばし味わった。
END