プロポーズ2
「なにしてるんだい?」
控えの部屋で携帯端末を見ていた星谷に月皇遥斗が声をかけた。
「あ、すみません。遥斗さんのインタビュー、終わりました?」
次の舞台で共演することになったふたりは雑誌の企画でホテルに来ていた。
星谷が先に来てインタビューを済ませ、あとから来た遥斗が終わるのを待っていた。
「休憩を挟んで対談だって。大丈夫?」
「はい。いつでも」
「それでなに見てたの?」
星谷はレンタカーのサイトを遥斗に見せた。
「デートにでも使うの?」
「え、いえ、鳳先輩を誘おうかと思って」
「やっぱりデートじゃないか」
断定的に微笑まれて、星谷は、えーと、と視線を泳がせた。
「オレたちって、そういうふうに見えてます?」
「違うの?」
違うっていうか、と口ごもると、ふうん、と遥斗は興味深そうな表情になった。
「俺の車、貸そうか?」
突然の申し出に星谷は戸惑う。
「このあとすぐニューヨークに行くから、空港まで送ってくれたらそのまま乗って帰っていいよ。あ、星谷くんのほうに予定が入ってるかな」
星谷の予定は変えられないものではなかった。
「どうせ駐車場に停めっぱなしにするつもりだったから、かまわないよ。帰国のときは迎えに来てくれると助かるけど」
遥斗はマネージャーを呼んで車のキーを持ってこさせた。
「はい。よいデートを」
ちょっと違うんですけど。と思いながら、星谷はキーを受け取った。