(1)
昼の光が入らないようカーテンを閉め切った部屋で、吐く息と衣擦れの音だけが聞こえる。
まとわりつく衣服は邪魔だが、鍵をかけてあるとはいえ、いつドアがノックされるかわからないので仕方ない。
最初の痛みをやりすごし呼吸を整えると、我慢が限界らしいガエリオが大きく動いた。
「痛い? マクギリス」
興奮した様子で訊いてくる。
「当たり前、だろ」
嬉しそうな顔をされて頭に来る。
「悪いけど我慢して」
「だったら、訊くな」
とはいえ、喋っていていくらか気が紛れた。
双方初めてなので無茶苦茶だ。戯れのようなキスは出会ってすぐにして、行為は年齢が上がるにつれ徐々にエスカレートしていき、十六になりとうとうここに至った。
「ガエリオ、ちょっと、ゆっくり」
「え? 無理」
蹴り上げてやりたいが、その足を抱えられていて力が入らない。空き部屋のベッドは、手入れが不十分で埃っぽかった。
「最悪」
言った途端に耳に舌を差し込まれた。そのまま耳の後ろを舐められからだが跳ねるが、体重を乗せて突き上げられる。
「すご…っ、気持ちいい…っ」
「くそっ、馬鹿、やろ…っ」
普段の力では互角なのに動けないのは、マクギリスに本気で逃げる気がないからだ。悦いとか痛いとか、わけがわからない。
「おまえは? マクギリス」
「知るか…っ、さっさと終われ…っ」
それを許可だと思ったのか、ガエリオは欲望のまま動き出し、マクギリスは自分が発している高い声を頭の片隅で不思議な思いで聞くことになった。
「マクギリス、俺、もう無理」
勝手にしろ、と言う前に自身を乱暴に扱かれてマクギリスは先に達する。ガエリオの手のなかに射精するのは初めてではないが、今まで感じたことのない快感だった。次に腹のなかに熱いものが吐き出され、頭が真っ白になった。
「マクギリス、大丈夫?」
霞む目を開けるとガエリオが顔を覗き込んでいて、大丈夫と唇を動かす前に抱きつかれた。
「よかった」
それはどういう意味でのよかったなのかと思いながら、汗に湿ったガエリオの髪の匂いを吸い込んだ。