赤面
シャワーを浴びていると誰かが部屋に入ってくる気配がした。
誰かというか、ロックしてあるので入ってこられるのはガエリオしかいないのでほうっておくと、脱衣所でごそごそ音がしておもむろにガエリオが入ってきた。
当然?なのか、全裸だ。
「ガエリオ?」
名を呼ぶ以外反応に困った。
頭から被っているシャワーを止めるべきかも迷うが、なにかする前に両腕のあいだにからだを挟まれ両手を壁につかれた。
なにがしたいのかよくわからない。
「恥じらえ」
「は?」
「赤くなるとかなにかあるだろ!」
「…なぜ?」
本気で尋ねた。
男同士でそういう関係で、なにをもってしてこの状況が恥ずかしいのかわからない。
「妙なフィルムでも見たか? そういうことならもっと適当な相手に仕掛けるべきでは」
「おまえが! 赤くなるところを見たいんだよ!」
「はあ」
非常に申し訳ないが無理だと思う。
ガエリオはごねるとしつこいのでご要望にはさっさとお答えして面倒を避けたいが、赤面するということ自体よくわからない。
そもそも恥じらいというものがマクギリスには備わっていなかった。
雨のように振るシャワーの下で、マクギリスは少し顔を上げてガエリオにキスをした。
足を絡めて下半身を擦り付けつつ、舌をすくって絡ませる。
恥じらいはないが快楽なら提供出来る。
これでご容赦願えないだろうかと、いつになく丁寧にガエリオの口のなかを舐めていると、乱暴に引き剥がされて壁に両手をつかされた。
「おまえは…ったく!」
馴らしもなく突き入れられて、息が止まりそうになる。
からだを反転させるときちらりと見えたガエリオの顔が、なぜか赤くなっていた。