聖ギャラルホルン学園
聖ギャラルホルン学園。そこは禁断の秘密の花園。
始業前の静かな礼拝堂のドアが開き、なかで祈りを捧げていた生徒が振り返った。
「遅いぞ、ガエリオ」
「すまなかった、マクギリス。校門で下級生たちに捕まってしまって」
ふたりともすらりとした身体に白と青を基調にしたセーラーカラーのワンピースを着ている。この学園の最高学年のしるしだ。
「こんな早くにもう下級生が?」
「俺とおまえがこの時間にここにいると、どこかから漏れたらしい。さすがになかまでついてくる勇気のあるやつはいないようだが」
眉をひそめるマクギリスにガエリオは近づいた。革靴の踵が床に音を立てる。
「そんな顔をするな。氷の微笑みのマクギリスお姉さまにみんな近寄りたいたいのさ」
無色のリップを塗っただけのほんのりピンクの唇に口付ける。
左手は腰から下に滑らせて長いスカートの裾をたくし上げ、黒いタイツに包まれた太股から今度は逆に這い上がり、なだらかな円を描く双球を撫でる。
清楚な上級生の下着はいつも黒のレースであることは、ガエリオだけが知っている。
長い指がレースと肌のあいだに入った。
「今朝もいい感じに湿っているな」
「馬鹿か」
恥じらうふうでもなくマクギリスはガエリオにキスを返す。
ガエリオが服の上からマクギリスの胸を掴んだそのとき、入り口で大きな音がした。
無意味だが、マクギリスの顔を隠すように腕を上げて、ガエリオは鞄を落とした黒のワンピースを着た下級生を見た。
「お、俺、すみませんっ!」
下級生は鞄を拾い上げ走り去る。
「あ、待て!」
「アイン・ダルトン。一年の転入生だな」
乱れた制服を直しながら、マクギリスが冷静に言う。
「見られたぞ」
「そうだな」
マクギリスはふっと笑った。
「生徒会にお誘いしようか」
次回。クランク先生への思いをポエムに変えて綴ったノートをマクギリスに読まれてしまったアインの運命や如何に。