檀香が鼻腔をくすぐり、藍景儀は目を開けた。
「ひゃっ」
 まず目に入ったのが魏無羨の整った顔で、いきなり変な声を出してしまった。
「戻ったか」
 藍景儀にまたがり手を重ねていた魏無羨のからだを、藍忘機がそっと動かし姿勢を直して横たえた。
「が、含光君」
 藍景儀は慌てて起きあがろうとして寝台から落ちた。
「何日も眠っていたのですから、急に動かないほうがいいですよ」
 藍思追が背中を支えてくれたので、上半身だけ起こす。
 枕元に香炉があり、寝台を囲んで江宗主と金凌が座禅を組んでいる。ここに先ほどまで藍思追もいたのだろう。
 藍景儀は座ったまま礼を取った。
「不覚を取り、ご迷惑をおかけしました。あの、魏先輩たちは」
「まだ向こうにいる。だがおまえが目覚めたならじきに戻るだろう」
 自分が大掛かりな術法で引き戻されたのだと悟り、藍景儀は再び頭を下げた。
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Posted by ありす南水