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「おい、大丈夫か? 生きているか?」
肩を揺さぶられて、藍景儀は目を開けた。
「藍氏にも生存者がいたぞ!」
松額に白い衣の藍氏が同門の仲間を呼ぶあいだに、藍景儀は頭を振った。
「一体なにがあったのだ。金氏は魏無羨が鬼将軍を操って金子軒を殺したと騒いでいる」
差し出された竹筒に入った水を一口飲み辺りを見渡すと、惨劇のあとだった。
蘭陵金氏の者に交じって、藍景儀と共にここに来た藍氏があちこちに倒れている。さっき生存者と言われたことからすると、みな死んだのだろう。
凄まじかった。
鬼将軍と呼ばれた温寧の恐ろしさを、目の当たりにした。
金光瑤の謀略だと知っているが、言うわけにはいかない。
ここでは藍景儀は、焼き討ちにあった雲深不知処に新たに入った弟子として認識されている。
過去の出来事を辿っている、とはっきりわかったのはついさっき。窮奇道で魏無羨が金子勲と揉め事を起こしていると知らせを受け、駆けつけたときだ。
ひょっとしたら惨劇を止められるのではないかという思いも虚しく、魏無羨に近寄ることすらできなかった。
遅れてやって来た金宗主と取り巻きは、最初から殺気立っていた。
「なんということだ! 魏無羨! 許さぬぞ!」
「こんな非道があっていいはずがない!」
一団のなかには沢蕪君と含光君もいたが、やはりここでは一介の仙師にすぎない藍景儀には近づくことができなかった。
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